ドラマやアニメに出てくる登場人物のセリフは著作権保護される?
かつて、ドラマ『半沢直樹』に登場する半沢直樹が言った「倍返しだ」というセリフが流行語になったことは覚えていますよね。
それ以外にも、ネット上ではドラマやアニメなどの作品に登場するキャラクターのセリフをネタにしたものも沢山溢れています。
以前「キャラクターと著作権にまつわる話。」の記事内にて、「キャラクターそのものの著作権は無い」という話をしました。
では、ドラマやアニメにおける登場人物のセリフは著作権として保護されるのでしょうか?
登場人物のセリフの著作権はどこまで該当する?
登場人物のセリフにおける著作権の範囲については、以下の通りとなります。
- 台本全体は著作権保護されている
- 短いセリフは著作権に該当しない
- 映像のある場面を含めている場合は著作権保護される
台本は著作権保護されている
当然ですが、アニメやドラマに使われている台本は著作権が持っています。
これは、台本自体がアニメやドラマを制作する1人である脚本家によって作られているからです。
短いセリフは著作権にならないことが多い
では、登場人物の短いセリフに限った場合はどうなるでしょうか。
その場合は、「登場人物の短いセリフは著作権に該当しない」ことが多いです。
短いセリフは日常生活にも使われることが多いため、登場人物が発言した短いセリフが流行語になったとしても、著作権として認められることは少ないそうです。
もし、登場人物が言った短いセリフも著作権として扱われることになると、憲法で保障されている「表現の自由」が奪われてしまいかねないので、現時点では著作権に該当することはまずありえないでしょう。
映像を含んだセリフは著作権保護される
ただし、映像の1場面を含めたセリフについては著作物として保護されます。
これは、作中の映像が著作物として認められるため、映像の1場面を含んだセリフについては著作権として扱われるからです。
そのため、権利者の許可なく、 「映像の1場面を含めた登場人物のセリフ」を無断で使うことは著作権法違反となりますので、注意しましょう。
登場人物のセリフが流行語になった場合は著作権保護される?
ドラマやアニメの登場人物が発言したセリフが流行語になった場合であっても、著作物として保護されることはありません。
ドラマやアニメのあるセリフが流行語になった場合としても、そのセリフ自体が短く、ごくありふれた言葉に過ぎないため、著作物としては認められないからです。
これは、ドラマやアニメのみならず、
- テレビ番組
- テレビCM
- 著名人の発言
などの多くのメディアにおいてある言葉が流行語になった場合も、同様として流行語の対象になった言葉が短いため、著作物になることは認められていません。
ただし、「映像の1場面を含めた流行語」 については、 「映像の1場面を含めた登場人物のセリフ」 と同様に著作権として認められることがあります。
また、キャラクターのセリフに著作権はないものの、特に有名なセリフは商標として登録される場合があります(後述)。
登場人物のセリフを使う場合は?
現時点では登場人物における短いセリフについては著作権として認められていません。
それでも、アニメや漫画などにおける登場人物が発言したセリフを使う場合だと、やはり著作権面で心配する方も少なくありません。
その場合は、セリフを引用することも大事です。
引用のやり方については、以下の記事をお読みください。
商標登録されている場合も・・・。
たまに、短いセリフが商標登録されている場合もあります。
特に有名なセリフだと短時間で商品名やサービスに名セリフを商標として登録しようと、多くの人が商標の申請に殺到することもあります。
そのため、会社内の商品やサービスに、アニメやドラマの名セリフを商標として申請する場合は、その名セリフが他の企業に既に商標として登録されていないかどうか確認するようにしましょう。
まとめ
というわけで、今回は「ドラマやアニメに出てくる登場人物のセリフは、著作権保護されるか?」について解説しました。
ドラマやアニメの台本は著作権保護されていますが、文章だけの短いセリフであれば著作権としては認められないようです。
ただ、いくら著作権が認められなくても、名セリフが商標登録されている場合がありますので、その点は十分注意するようにしましょう。