Webサイトに著作権はあるの?他サイトのスクショをネットに載せたら違法?
他サイトのスクショを自分のブログやSNSで紹介したいけど、そもそもWebサイトって著作物として扱われるの?確か、サイトのフッター部分に著作権表記が書かれているから、そうだと思うけど・・・。
こういう疑問を解説します。
Webサイト自体も著作物なの?
Webサイトは、
- Webデザイン全体のテンプレートなど
- ドメイン
- 画像(写真・イラスト)・動画・音楽・効果音
- 文章(記事・コラムなど)
- キャッチコピー
- ソースコードなどのプログラム
などの要素で構成されています。
そして、画像や動画、音楽などのコンテンツは自分で撮影・制作したものか、フリー素材サイトなどから借りてきたものかなど、コンテンツごとの著作権もバラツキがあります。
著作物に該当するコンテンツは?
このうち、著作物として該当するものは
- 画像(写真・イラスト)
- 動画・音楽・効果音
- 文章(記事・コラムなど)
以上の3つです。
これらは、全て「制作者の思想や感情が創作的に表現した」ものであることから、著作物として認められています。
これはもうお分かりだよね?
サイト全体のレイアウトは著作物ではない!?
Webサイト全体を構成するレイアウトは「アイデア」扱いとなり、著作権として認められる可能性は低いです。
Webサイトの構成や配色でさえ、他の人が作っても似たり寄ったりになりやすいことから、Webサイトのレイアウトは単なるアイデアにしか過ぎないからです。
ソースコードは著作物として認められない
また、東京地裁平成28年9月29日の判決文では、「HTMLは誰が作成しても似たレイアウトになる」ということから、HTMLやCSSのコード自体は著作物として認められていないことが分かります。
HTML(言語)に関しては,教科書や辞典が多数存在し,多くの約束ごとが定められていること,HTML(言語)は,プログラミング言語ではあるが,集計・演算等の処理をするためのものではなく,ブラウザの表示,装飾をするための言語であり,ウェブ画面のレイアウトと記載内容が定まっているときは,HTMLの表現もほぼ同様となり,誰が作成しても似たようなものになることが認められる。
基本的にHTMLやCSSのコード自体は、多くのサイトや書籍にて決まり事がしっかりと書かれていますし、同じデザインだったとしても、HTMLタグやサイト構造が異なる、という点もあります。
つまり、Webサイトの骨組みとなるHTMLやCSSも著作物扱いとなると、ソースコードの利用が自由に出来なくなり、Webサイト制作が困難になる問題も起きてしまうからです。
ドメインは著作物ではないが、商標権などに注意
ドメイン名は日常でよく使われる単語にしか過ぎないため、著作物としては認められません。
ただし、商標登録している企業名やブランド名に同一か、それに似たドメイン名は商標権侵害や不正競争防止法に違反しますので、ドメイン名を決める際は絶対に気を付けましょう。
ここまでのまとめ
- Webサイトのコンテンツである画像・動画・音声・文章は著作物として認められる
- Webサイト全体のレイアウトは「アイデア」扱いとなり、著作物ではない
- ソースコードは著作物として認められない
- ドメインは著作物ではないが、商標権や不正競争防止法に違反しないように注意すること
他サイトのスクショを載せるのは違法?
「運営者の許可なく、他のサイトのスクリーンショット(スクショ)を自分のサイトやSNSに載せることは著作権法違反だからダメ」という意見もあります。
確かに、Webサイト全体もしくは一部をそのまま載せることは、サイト運営者にとっては嫌だと思いますよね?
ですから、事前にサイト運営者の許諾を得た上でWebサイトのスクショを掲載する必要があります。
サイト運営者から許諾を得ていないサイトのスクショは、引用要件を満たしたうえで掲載しないと、著作権法違反に繋がることがあります。
ちなみに、引用要件とは以下の4つを表します。
(1)他人の著作物を引用する必然性があること。
(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(4)出所の明示がなされていること。(第48条)
以上の引用要件を全て満たしていない場合、著作権法の第二十条である同一性保持権を侵害する可能性があります。
ただし、サイトによっては「当サイトをブログやSNSに紹介してもいいよ」という旨を告知していることもありますので、最終的にはWebサイト/ブログの運営者による判断次第、ということになります。
≫他の方が書いたブログ記事の文章や画像を正しく引用する方法【知らないと危険】
Webサービスの利用方法を解説するためにスクショを加工してもいいか
一番悩み所なのが、「Webサービスの利用方法を解説するために、スクショを加工してから掲載する」場合です。
この場合は、現時点では黙認されるケースが多いと思います。
著作権法第二十条の2項四号では、以下のことが書かれています。
四 (中略)著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変
この場合、前述の引用要件を満たした上で、さらにスクショに丸括弧や矢印などで詳しい説明を付け加える場合であれば、著作権法第二十条の2項四号に該当するため、問題ないと思います。
仮に、「Webサービスの使い方を解説するため、スクショに自ら説明を加えた」ことがきっかけで権利者から訴えられた場合、それが同一性保持権に該当するかどうかは裁判で判断しないと分かりません。
実際、私もネットで色々と調べてみましたが、現時点(2022年2月)では「Webサービスの利用方法を解説するために、スクショを加工してブログに掲載したら、元のWebサービスの運営者から著作権違反だ、と指摘された」という報告は見当たりませんでした。
まとめ
以上の解説から今回の内容をまとめると、以下の通りとなります。
- 画像・動画・音声・文章などはそれぞれの著作物として帰属される
- Webサイト全体のレイアウトは「アイデア」なので、レイアウトは著作物として認められない
- ソースコード自体は著作物として認められていない
- 他サイトをブログやSNSに紹介したい場合は、引用要件を満たすか、サイト運営者に許可をもらう必要がある
- サイトによっては自ら「サイト紹介OK」と掲示している場合もある
「Webサービスの利用方法を解説するために、スクショを加工して掲載する」場合
- 引用要件を満たす
- 丸括弧や矢印など、自ら詳しい説明を付け加える
以上2点を満たせば、著作権法第二十条の2項四号の「やむを得ない改変」に当てはまるため、現時点では黙認されるケースが多い
非常にややこしいと思いますが、参考になれば幸いです。